教育の職に就くにあたって、色々と勉強したが、「マズローの欲求5段階説」はとても重要な意識だと考えている。
この考えについて、「家庭」「学校」「職場」という切り口で解説し、これから多用していくと思ったのでイラストのデザインをしてみた。(いらすとやを使って。)
Contents
マズローの欲求5段階説とは
アメリカの心理学者アブラハム・マズローが、「人間は自己実現に向かって絶えず成長する」と仮定し、人間の欲求を5段階の階層で理論化したものである。これは、マズローの欲求段階、自己実現理論とも称される。
つまり、その人に対して、欲求の階層を意識したアプローチを取れば、より自己実現しやすくなり、良い循環が生まれると考えている。
逆に、低次な欲求を満たせていなければ、高次な自己実現に向かうことは難しいだろう。
ではイラストを参照しながら説明する。
欲求の階層
マズローの欲求5段階説について、以下のWikipediaのページから引用しながら説明する。
https://ja.wikipedia.org/wiki/自己実現理論
生理的欲求
生命を維持するための本能的な欲求で、食事・睡眠・排泄など。極端なまでに生活のあらゆるものを失った人間は、生理的欲求が他のどの欲求よりも最も主要な動機付けとなる。
最近のニュースで、子どもの貧困が話題になることが増えている。
貧困による悪影響は様々あるが、まずは生理的な欲求が満たされないことは、一番の懸念である。
そんな中で、フードチケットなどが対策の一つとされやすいのは納得がいく。
また、下記のように負の連鎖と表現することも想像しやすくなる。
https://news.yahoo.co.jp/byline/yuasamakoto/20170201-00067139/
安全欲求
安全性、経済的安定性、良い健康状態の維持、良い暮らしの水準、事故の防止、保障の強固さなど、予測可能で秩序だった状態を得ようとする欲求。病気や不慮の事故などに対するセーフティ・ネットなども、これを満たす要因に含まれる。
何かしらの災害の影響などで、避難所生活が長くなると、この部分での欲求が満たされず、ストレスが増える。
救援物資が十分であっても、ストレスを感じてしまうことも容易に想像がつくだろう。
社会的欲求
自分が社会に必要とされている、果たせる社会的役割があるという感覚。情緒的な人間関係についてや、他者に受け入れられている、どこかに所属しているという感覚。愛を求め、今や孤独・追放・拒否・無縁状態であることの痛恨をひどく感じるようになる。
成長過程の中で、この欲求が増えてくる。
しかし、先日のニュースで、発達障害予備軍/グレーゾーンの子は、友人の輪から先に帰ってしまう、といった内容のことが取り上げられていた。
このことからも、本来は友人の輪への帰属意識を優先するような行動が一般的であると認識されるのであろう。
(※私は、友人の輪から抜けるのが悪だとは決して思っていない。)
尊厳欲求
自分が集団から価値ある存在と認められ、尊重されることを求める欲求。尊重のレベルには二つある。低いレベルの尊重欲求は、他者からの尊敬、地位への渇望、名声、利権、注目などを得ることによって満たすことができる。
言わずもがな、褒められたら嬉しい。
大人になってからも、やはり人に褒められて嫌な気持ちにはならない。
自己実現欲求
自分の持つ能力や可能性を最大限発揮し、具現化して自分がなりえるものにならなければならないという欲求。
褒められて嬉しいことが、行動の動機になるのは、小学生ぐらいまででないか。
それを過ぎてからは、少しずつ自分のやりたいことをやり、それが達成できたときにやりがいを感じるようになるはずだ。
仕事でも同じ。働き始めは、上司や先輩、お客に褒められるから続ける人が多いのではないかと思う。
それを過ぎてからは、褒められるだけでなく、自分が正しい思うことを貫き、結果として自分の目標が達成できるように行動しているであろう。
様々な環境における解釈
上記の欲求は概念的なので、自分が考える具体的な解釈を述べておく。
家庭
食事が満足に食べられる。
自宅に自分の居場所があり、落ち着いて過ごすことができる。
家族の一員として自覚し、保護者との関係も良好であり、双方を尊重したコミュニケーションが取れる。
保護者が話を聞いてくれたり、褒めてくれたりする。
自宅で勉強したり、将来のために目標をたてたり、やるべきことに取り組める。
学校
家庭での寝食が落ち着いていて、食事の量や栄養バランスが申し分なく、睡眠時間も確保できている。
クラス内で敵対する人がいなく、当然いじめや異性からの嫌がらせ、教師からのストレスもない状態で、クラスの中で自分のポジションが確立できている。
友人関係が良好であり、各種行事などで仲の良い友人たちとまとまることができる。
教師からの信頼を得ることができ、友人からも認められる存在である。
落ち着いた学校生活を送ることで、学業に集中でき、進路選定でも自分のやりがいに合わせて自身の判断で物事を進行させることができる。
職場
プライベートが充実している。
会社が潰れる心配はなく、会社の業績も好調であり、担当業務も継続していて長期的な給与収入が見込める。
上司や同僚との関係が良好で、チームとして一緒に仕事をすることにやりがいが感じられ、頼られたり誘われたことがあれば、力になりたいと思うことができる。
担当した業務が成功した時には、上司や同僚から賛辞の声をかけてもらえ、会社からは昇級などのインセンティブが得られる。
現在の担当業務をこなすだけでなく、事業の拡大や長期的な視野を持ってより先進的なプロジェクトにチャレンジできる。
まとめ
このように順番に並べていくと、一つ一つ積み上げていく必要があることが認識できる。
しかし、現場ではなかなか積み上げることができず、場当たり的に課題を解決しようとする。
原因を把握し、根本的な解決を検討したい物だ。
特に、昨今の学校現場において、早期に将来設計や将来何になりたいか決めさせるような傾向を見受ける。
外的な欲求が満たされているのであれば問題ないが、満たされていない者に対してテッペンにある自己実現を求めてしまっては、ストレスを感じてしまうのは当然であろう。
こういった考え方は、都度啓蒙しながら、よりよい生活、より一般的な生活が送れるようにしていきたい。
ちなみに、今回デザインした「マズローの欲求5段階説」のイラストは、是非色々な場所で使って行きたいし、使ってもらいたい。