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「フューチャースクール シンガポールの挑戦」を読んだ

フューチャースクール シンガポールの挑戦

– ☆☆☆

– 手に取った理由
今度シンガポールに行くので。

– 感想
色々な論文/報告がまとまった書籍だった。
発行が2011年と、少々古いので、現在どうなっているのか気になる。

訳者がまえがきとして記載している内容で、

新学習指導要領で一番注目される教科は何と言っても国語である。

と言い切っているところはとても印象に残っている。
この指導要領の変更が、教育関係者すべてに浸透していると、とても開けていくのだろうけど、なかなかそうもいかない。
何せ自分でさえ、この意識を保ち続けられていないのだから。

また、

ICTを使った実験に興味のある教師を優遇し、コンピューターを媒介とした授業の準備のためにもっと時間を与える必要がある。

この意見にはとても同意できる。
教員歴が短いからか、教材研究にとても多くの時間がかかってしまっている自分としては、細かな事務処理をもっと他の人が集約して効率よく片付けられないものかと日々悩んでいる。
そうでなくとも、最近の変化の激しいICT機器を導入するには、準備にとても多くの時間がかかる。
こういった作業を重要と考える経営者であれば、タスクの優先度や配分を調整してしかるべきと思ってしまう。

「実践研究をサポートする枠組み」はなかなか面白い構成となっていた。
・人材(能力/考え方と信念/認識と褒賞)
・システム(カリキュラムと評価/説明責任/構造)
・資源(人的資源/資金/協力関係)
今の職場には難しい問題だと感じてしまう。
気になったのは、所々で、コンサルタントの導入や、外部リソースを雇い入れる、といったことが記載されていた点。現場の教員たちは外部の人間を受け入れにくい精神構造をしているので、この部分を転換していく必要があるようだ。

シンガポールの小学校で取り組み始めている1人1台のPC配布。
日本でも少しずつ施行され始めている。
この状況では、高校ではパソコンルームでしかPCガ使えなかったり、ICT機器の持ち込みを禁止したり、時代の流れに完全に乗り遅れている感が否めない。

校内におけるPCの利用率向上の流れとしてとても参考になる情報があった。
移動式のコンテナを導入し、ノートPCをクラスの人数分持ち運べるようにしたとのこと。
これにより、保管や充電もとても楽になり、授業での利用もとても楽になった様子。
これは採用したい手段。

立場が変わるらしい。

タブレットPCを頻繁に使うことは、〜〜〜。教師たちは自分が説教的な指導をする担任教師というよりも、支援者としての役割を担っていると感じた。

授業内外でブログを活用して、外部への発信を行うことで色々と捗るようになるらしい。
使っているソフトとして公開されていたのは、BloggerとDrupal、Picasaとflickrも使っているという点はとても参考になった。
ただ、Drupalを採用した理由が気になる。コミュニケーションをとらせるのが目的ということなのだろうか。
また、外部への発信という点で、今後取り組みたいと思えたのは、授業の内容や成果物を公開するという点。
たとえば、個人でmoodleを構築し、ここに生徒を集めて授業を実施すれば、生徒が自宅からでも復習できるようになる。
早速取り組んでいきたい。

挙げられていた問題点。
教師が新たなICT機器を導入するにはとても準備に時間がかかるし、その機器やソフトの使い方を教師自身が学習する必要がある。
これはとても大きな問題。どうしたらこの時間を捻出できるのだろうか。この点については記載がなかった。

全体を通して、現状の報告とその結果判明した問題について、といったところだった。
是非取り組みたい情報が多々あった。
消化不良ではあるが、徐々に取り組む。

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